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PR広報ブランディング

広報活動によるブランディングが、企業の長期的・持続的な成長に効く

広報活動というと、プレスリリースを出したり、製品発表会や記者会見を運用するといった、メディアを通じて自社や製品の価値や方向性を伝える業務が連想されがちです。

 

しかしそれらは、広報活動の一端でしかありません。

広報活動の本来の目的は、単に新製品やトピックスが出るごとに話題づくりすることではなく、もっと長期的な目線で「自社の歩むべき姿」を捉えて、そのための「ステークホルダーとの関係づくり」をすることなのです。

参考:PRとは?「理解、認知、好感」を獲得するための社会活動 (mops-pr.net)

ステークホルダーとの間に強固な信頼関係を築ければ、その結果大きな共感を覚えてもらえるようになり、そこには掛値なしの価値感が生まれていくでしょう。そうなれば、貴社はもう理屈なしに、他社とは差別化された特別な存在となるのです。

 

貴社と強固な信頼関係を築け、共感してくれる人々は、たとえば、価格競争も関係なく支持し続けてくれることでしょう。

 

こうした特別な関係の形成、それが「ブランディング」です。「ブランディング」こそ、究極の広報活動と言っても過言ではありません。

 

社会情勢にしろ経済にしろ、予測もつかないような出来事が続々と押し寄せてきている現代、よりいっそう「ブランディング」の重要性に注目が集まっています。

この多様性の時代に勝者となるには、話題づくりよりも価値づくりなのです。

 

企業を長期的に、持続的に成長させるブランディングについて、その意味から施策に至るまで、解説していきます。

ブランディングとは

ブランディングとはのイメージ

ブランディングとは

ブランディングとは、独自のブランドを形成し、それに対する信頼や共感を通じて企業の価値向上や他社との差別化などを目指すマーケティング戦略であり、広報戦略です。

では、「ブランド」とは何か? です。

ブランドとは、人々が理屈なしに得たいと思う、価値(強み)です。
語源となったのは、なんと家畜に所有者が自分のものであることを示すためにつける焼き印(brander)。これがブランドという単語として「目印」という意味で使われるようになり、さらに特定の企業や商品等の総体的イメージという意味も包含するようになりました。

確かに、現在「ブランド」と言えば、それらを象徴するロゴマークを想起することが多いでしょう。そして、そのマークとともに対象商品に対する何らかの安心感や品質が、一緒に浮かび上がってくるはずです。

広報とブランディングの関係

広報とブランディングの関係については、いろいろと語られていますが、ここでは、

ブランディング=広報施策のひとつ

という捉え方をしておきたいと思います。

両者ともに、企業とステークホルダーの関係づくりを目的としながらも、広報はメディアをはじめとする第三者を介した情報発信を核とし、ブランディングはすでにファンとして信頼感や共感を抱いてくれている人々の声を核として行われる点が「違い」だと言えます。

広報活動は新製品やトピックスの情報を迅速に発信し、早々に取り上げてもらうことで話題づくりをします。ブランディングはそういった広報活動を援護射撃する「環境づくり」でもあるわけですが、数多くのプレスリリースやイベントで発信した企業の印象が蓄積され、「ブランド」へと成長するのです。
ブランドはファンの声が形成する世界ですから、成熟するまでには時間を要します。

ブランディングの目的

「価格競争に巻き込まれずにより高く、より多く、自社の商品やサービスをお客様に買ってもらうことで、企業の利益を増やし、長期的に経営を安定させるため」に行うことがブランディングです。

つまり、ブランディングの目的は、企業経営への貢献なのです。
浮き沈みが付きもので、役員の交代等によりさまざまな理由から変化を来たすこともある企業経営を、いかなる状況でも安定的にステークホルダーから支持され続けられるように支えるのがブランドです。

ブランディングのメリット

ブランドといえば、ロゴをふんだんに使ったデザインのバッグやジュエリーを思い起こす方が多いと思いますが、それらは同等の素材を使った他社の製品の数十倍(ときには数百倍)の価格で販売されているにもかかわらず、常に注目を集め、常に売れています。
この現象こそが、ブランドのなせる技です。

ブランディングのメリットについて、整理しておきましょう。

1.価格競争に悩まなくなる
ブランディングによってステークホルダーは価格ではなく、「価値」で製品やサービスを判断するようになりますので、価格で差別化する必要がなくなります。これによって利益率を上げやすくなり、結果的に売上向上にも寄与することになります。

2.売上が安定し、経営も安定する
ブランドを確立すると、価格競争と無関係の商売ができるようになるだけでなく、熱狂的なファンとも言うべきロイヤルカスタマーが増殖します。
ロイヤルカスタマーはリピート買いをしてくれ、口コミで新製品情報等を拡散してくれます。ロイヤルカスタマーの数を見込めるようになれば、売上予測も計算しやすくなり、安定した経営ができるようになります。

3.広告・宣伝費が削減できる
ブランドが一人歩きするようになると、ロイヤルカスタマーによる口コミを中心に、情報がどんどん拡散されていくようになり、広くあまねく広告を出す必要がなくなります。
ブランドが確立されているということは、ターゲットが明確になっているということですから、広告を出すにしても出稿媒体は簡単にリスト化できるようになります。
ブランドそのものが最大の告知メディアでもあり、無駄に広告・宣伝費をかける必要がなくなります。

4.社内に一体感が生まれ、生産性が向上する
ステークホルダーから愛されるブランドには、社員も誇りを感じ、企業愛を育み、就労へのモチベーションも向上します。そして、生産性も上がっていきます。

5.採用が有利に運ぶ
ブランド価値が上がれば、当然認知度も上がります。値段以上に価値を感じてもらえる企業になれれば、採用活動時でも優良企業の印象を抱いてもらいやすくなります。

ブランディングを実践する方法

ブランディングを実践する方法のイメージ
これまでブランディングとは何かを説明してきました。
いいことづくめのような解説になってしまいました。

しかし、冒頭にも述べたように、ブランディングには時間がかかります。
特定商品を短期的にヒットさせるよりも難しいと言えます。

でも難しい工程を乗り越えたからこそ、他社の追従を許さない差別化を果たし、孤高のポジションを勝ち取ることができるに違いありません。

踏み出すべき一歩から、ブランディングの実践方法について、解説していきます。

自社の立ち位置を確認する(環境・市場・顧客の各分析)

どのようなブランディング(ブランドイメージの策定)をすべきかについては、自社の分析から始めます。

実は、ブランドイメージの策定には「広報戦略の策定」が必要です。
この広報戦略の策定に関しては、それなりに長い解説が必要なので、当サイトの広報戦略とは:策定方法、成功させるポイントなどという原稿を参照していただくことにします。

広報戦略の策定はブランディング施策の一部ではありますが、非常に重要な部分です。
特にこの中で自社の置かれている立ち位置を分析する作業によって、自社の置かれた環境の状況、市場動向、顧客の動きなどが明確になってきます。

競合と比較したメディア露出の状況なども数値ではっきりしますから、強味と弱みの確認もできます。

そういった分析後、客観的な目で自社を見つめなおし、「社会にどのようなブランドを備えた企業だと思われたいか」つまり、どのようなブランディングをすべきかを考える段階にようやくたどりつくのです。

ブランディングのターゲットと目的を明確にする

自社に関するデータが揃ったところで、いよいよ「どのようなブランディングをするか」に作業を進めていきます。
 
いきなり「どんなブランドをつくるか」を考えるのはハードルが高いかもしれません。では、分析等で明確になった「顧客」についてさらに追及していきます。

つまり、何歳くらいの、どのあたりに住む、どんなライフスタイルの人々が、自社のメインターゲットなのかを洗い出します。
そして、その人々に自社をどのように見てもらいたいのか、徹底的に話し合ってください。
その結論こそが貴社のブランドだからです。

その際にテーマとすべき項目は以下のようなものがあります。

 事業展開で大事にしていること。
 創業時から今後にいたるまでのビジョン。
 「らしさ」とは何か。
 社内外のステークホルダーとのコミュニケーションに関する課題。
 社会からどのように見られたいのか。
 フォーカスされるべきは特定商品(サービス)なのか、社風なのか。
 時流の変化にどのように対応していく予定か。

「どんなブランド」にするかを考えるのはたいへんな作業だと思うかもしれませんが、これは競合との差別化を考えたときに、自社の強みに関してより細かく分析して書き出してみてください。
とはいえ、自社の強みは他社の強みでもあり、必ずしも市場でトップとは言い切れないことも多いでしょう。では、さらに自社の強みをつきつめるために、次の観点からもう一度見つめなおしてみます。

1.ブランドポジショニング
類似の強みを掲げる競合他社に対して、市場での立ち位置はどうかを考えます。
最も歴史が浅く、売上等の実績も低いようであれば「新進気鋭」「変幻自在」だとか「新しいからお客様の意見を反映しやすい、敷居の低さが売り」というように、その立ち位置を前向きな表現に置き換えられないか考えていきます。

2.ブランドアーキテクチャ
自社が持つ複数のブランドの階層や関係性を整理し、それぞれの役割や価値を明確に定義し、どのような相乗効果を生み出せるか考えます。

3.ブランドストーリー
ブランディングの対象となる商品やサービスの、誕生背景や今後目指す世界についてなど、ストーリーとしてまとめます。意外な差別化ポイントが見えてくるかもしれません。

4.ブランドパーソナリティ
ブランディングの対象となる商品やサービスを擬人化したら、どんな人格になるのか、性格になるのか考えてみます。
ブランディングの対象が、他人にどのように見られたいのかを、人の性格を表す形容詞の一覧から選んでいきます。

たとえば「誠実」を分析すると、正直/道徳的/明るい/健康的等、実にたくさんの表現が出てきます。「誠実」の中でもより自社に適したものはどれか考えていくのです。

5.ブランドボイス
ブランドがターゲットに対してどのようにメッセージを伝えるかを規定する、ガイドラインのようなものを指します。
プレスリリースやSNSでのアプローチ等におけるメッセージのトーン、言語、スタイルはどのようなものが適切なのか考えてください。

上記5つの観点から出た答えを書き出していき、自社分析で得たデータも参考に、自社ターゲットに強みをフィットさせるにはどうしたらいいのかもう一度考えていきます。

ブランドを表すキーメッセージ、ストーリー、パーソナリティを具現化

ブランディングは、社内一丸となって臨むべきものであり、ブランドは全社的理解のもと運用されることが原則です。
そのためには、「自社のブランド」の内容を社内で共有し、社外へ伝道していかなければなりません。そのためのツールが必要です。

自社のブランドが、先に設定したターゲットにどのような価値を与えられるのかを考えます。すでに行った分析データなども、改めて見直して参考にします。

マーケティング的に、顧客が感じる価値は、次の4つに分類されると言われています。
・実利価値(品質、機能、使いやすさ)
・感性価値(デザイン、個性)
・情緒価値(使用実感や体験)
・共鳴価値(価値観の表現、社会的実現)

これらを軸に自社が顧客にどのような価値を提供できるかつきつめていきます。

さらに、自社のブランドの特徴、あるいは最も訴求したいポイントを凝縮した、簡潔でわかりやすい一文にまとめます。
最初から完璧な文章でなくてかまいません。とにかくブランドを一言で表す「キーメッセージ」としての一文を、考えてください。

そしてそのキーメッセージに表現されているような内容が、なぜ自社にとって大事になったのか、ストーリー化します。ストーリーができたら、キーメッセージを見直し、それに対して社内で意見交換を繰り返し、キーメッセージやストーリーも再考します。

もう少し欲張ると、ブランドのパーソナリティが明瞭になれば、多くの人数でブランドについて理解しやすくなります。
ブランドのパーソナリティとは、ブランドが醸し出す雰囲気や世界観のことであり、「Aというブランドは〇〇な雰囲気がある」というように表現されます。
信憑性、記憶性、価値、信頼性、説得力の5つの要素で構成されると言われています。
ブランドパーソナリティの確立により、競合他社とも克明に差別化できるでしょう。

視覚的要素によるブランディング

最後に、ブランドと言えばつきもののように思われている、ロゴマーク等の視覚的要素で「自社のブランド」を表現するブランディングの実践です。

ブランディングの対象によっては、バッグや衣料品のようにロゴマークやイメージカラーは必要ないケースも少なくありません。
しかし、「視覚的訴求」は非常にパワーがあります。
設定したほうがブランディング後の施策が楽になります。
視覚的要素としてどのようなものが考えられるのか、整理しまてみました。
それぞれお金もかかりますから、吟味して、自社に必要と思われるものだけ取り入れていけばよいでしょう。

・ブランド名
商品名やサービス名とは別に、何らかの世界観でくくられたブランドを設定したとして、それらを総称する名前は、あったほうがよいでしょう。
文字どおり、ブランドを象徴する言葉として、ロイヤルカスタマーに多用してもらえるようになればしめたものです。

・ブランドカラー
ブランドカラーは、当該ブランドを想起させる色です。ブランドの世界観やメッセージを連想させる色や配色を設定します。

・ブランドロゴ
ブランドロゴは、ブランドが包含する商品やサービスのイメージ、特徴の象徴です。顧客に愛されるデザインが求められます。

・ブランドキャラクター
広報用に、ロゴとは別に設定されるキャラクターです。ウェブサイトや商品パッケージなどにロゴとともに活用され、宣伝のマークとして機能します。

・パッケージデザイン
商品を梱包するパッケージデザインは、通信用の封筒デザインなも含め、ブランド訴求用に必要なツールです。事務連絡用の封筒と特定ブランド専用の封筒を分けるといった使い方もあります。

・コーポレートサイトや社内報、SNS
ブランドのロゴやカラーを設定しないことにしたとしても、必ずキーメッセージやパーソナリティは、企業が情報を発信するあらゆるメディアで訴求するようにします。

ブランディングの効果測定

ブランディングの効果測定のイメージ
ひととおり、ブランディング施策ができたとします。
ブランドはよほどインパクトのある成果がない限り、確立できるまでにはそれなりの時間を要します。
ちなみに、短時間でブランドを確立した好例としてはMLBの大谷翔平選手が挙げられます。短い期間で数々の記録を達成し、今や世界中で「野球=大谷選手」というブランドが
誕生したわけです。
つまり、短期間でブランディングを完成させるのは一筋縄ではいかないということです。

ブランディング施策後は、日々地道に設定したメッセージ、ストーリー、パーソナリティを利用して、日々の営業活動や広報活動で活かします。

ブランディングが浸透しているかに関しても、定期的に調査を行います。
ブランドの効果測定です。
ブランドの価値の測定に関しては、「ブランドエクイティ」と呼ばれるブランドの資産価値を評価する基準がさまざまな市場で採用されています。
エクイティ(Equity)とは、金融の世界では「株式資産」「自己資産」を指す言葉として使われています。つまり施策次第で上下する価値を示しています。

ブランドエクイティを測る要素は5つあるとされています。

ブランド認知
ブランド連想
ブランドロイヤリティ
知覚品質
その他のブランド資産

これらの価値がどのような状況にあるのかを調査する方法としては、顧客インタビューやアンケートが有効です。ブランドの浸透には時間を要しますから、年に1回程度実施し、毎年繰り返すようにします。

もちろん、ブランディング施策時に推奨した自社分析によって競合他社との違いや改善点なども洗い出します。

ブランディングを活かした成功事例

ブランディングを活かした成功事例のイメージ
ブランディングにより、認知度が上がった、業績が上向いたといった成功事例を2社紹介しておきます。

—―ブランドアイデンティティの策定で、社内外で自社への理解を深め、信頼関係が向上 ゼノアック(日本全薬工業株式会社・動物用医薬品及び医療機器等の研究開発・製造・ 輸出入・販売)

ゼノアックは、資本金1億超、売り上げも500億に迫る大企業だが、ややわかりづらい社名が災いしてか、その事業内容や企業理念を正しくステークホルダーに伝えることができていないことが課題だった。その解決に向かい、ブランディングに踏み出す。
「動物用医薬品メーカーといえばゼノアック」というイメージの浸透を目指す。
まずは顧客の声を収集し、ニーズを把握。自社の強みと弱みを分析し、ゼノアックがこれ
まで大切にしてきた“動物へのリスペクト”や“動物にやさしい、動物の価値を高めるための
創薬”などの「伝統」と、これから育てていく“グローバル”“バイオテクノロジー”“デジタル”
などの「革新」を掛け合わせ、「伝統と革新の融合によって幸せの輪を広げ続けるAnimal
Health Company」というブランドアイデンティティを作成。
社内向けブランディングでは、ブランドガイドブックの配布や、オンラインでの社長との1対1の親交セッションを開催したりした。その他社員には、働く環境や自社への理解に関するヒアリングの機会を増やし、「働き方」にも従来以上に配慮するようにした。
社外向けブランディングでは、獣医師とタイアップしてペットオーナーに役立つ情報を配信するメディアを構築したほか、畜産業のイメージアップを目的としたウェブマガジンの発行もスタートさせた。
こうしたブランドアイデンティティに基づいた一貫性のあるコミュニケーション展開に
より、社員の中にブランドに対する理解と責任の意識が醸成されるなどの成果を生んだ。

また、創業75年にあたる2021年に「新たな経営理念体系とビジョン」を制定し、プレスリリースで発表した。
内容は、社是として「私たちは、動物の価値を高め、つながるすべての人々の幸福に貢献します」や、ブランドプロミスとして動物に対する気構え、ロゴマークが動物の瞳を表していることやロゴに添えられたキャッチフレーズの「Gazing at」は子どもなどが好奇心をもってキラキラした瞳で見つめるという意味を表す等も収められ、なかなか盛りだくさんだ。

こうした活動の積み重ねにより、「自社は何者か」の訴求を見事にブランディングで成功させ、もともと上々だった業績に拍車をかけていった。

—―ブランディング戦略で、短期間で「高性能なホーロー鍋の代名詞」の位置を勝ち取る 愛知ドビー(バーミキュラというブランドの鍋の、製造・販売)

商品に自信はあったが、認知度の低さがネックと感じながら短期間で「誰もが知る、高性能なホーロー鍋の代名詞」というポジションを自分のものにできた愛知ドビーは、『バーミキュラ』ブランドを前面に押し出し続けた広報活動が功を奏したと言わざるを得ない。
いまや無水鍋の代表格となったバーミキュラを製造する愛知ドビーは、創業1936年の鋳物メーカーで、当初は織機の製造をメインとしていた。時代の流れからその後船舶関係等へ主力事業を変更しつつも、業績はなかなか上向かないことに頭を抱え続けた。

現在の社長に代替わりする際に、「町工場から世界最高の製品を作りたい」と思い立ち、自社に認知がないからこそ、最初からバーミキュラと命名した新ブランドのブランディングを重視して市場に出た。

当時から現在に至るまで一貫しているのは、大切にしていること3つだ。
1.購入者に喜ばれる商品を作る(でも安くはない)こと
2.その商品で届けたい世界観を言語化してコンセプトを作る(世界一よい素材を最高の腕で手掛け、安全性にも配慮)
3.すべての商品を一貫したコンセプト(素材本来の味を引き出す)で括る

繰り返しになるが、バーミキュラはバーミキュラという会社の商品ではなく、愛知ドビーという鋳造会社の1ブランドだ。ただ、愛知ドビーとバーミキュラのイメージは、ブランディング上一線を画さざるを得ない。これまでとは違う、「高くてもいい鍋を使って調理したい」という人々がターゲットだから、小さな鋳造会社を想起されてもマッチしないのだ。

「素材本来の味を楽しむライフスタイルを通じて、世界中に手料理のある暮らしの素晴らしさを届けることがバーミキュラブランドの使命」をキーメッセージとして掲げ、メディアへのアプローチはとことんバーミキュラの名のもとに臨む。
ターゲットとした対象は一流の商品を求める人々だとし、“すべてのバーミキュラの調理道具は「世界一、素材本来の味を引き出す」ことを目指して開発されています。私たちが最高の製品だと確信できるまで、製品化されることはありません。”と押し続けた。
「修理は一生する」「安全な調理をお手伝いしたいのでカドミウム等は一切使って
いない」「より便利で楽しくつかってもらいたいからレシピも提供するし、サポートデス
クも用意」等、お客様を大事にする会社という姿勢も強調し続けた。
自社サイトに顧客の声を掲載し、距離のない関係も誇示し、その雰囲気がまた同調者をロイヤルカスタマー予備軍として呼び込む。

高品質、さらに洗練されたデザインの商品は、使う場や使う人の設定まで考え抜かれたブランディングによって形成されたバーミキュラワールドによって売上を伸ばし続けている。

ブランディングに関するまとめ

ブランディングに関するまとめのイメージ
ブランディングは広報施策のひとつですが、ステークホルダーとの間に強固な信頼関係を築き、共感を呼び、掛値なしの価値観を生み出すことを目的とします。
ステークホルダーと特別な関係を形成することこそ、ブランディングです。

企業を長期的に持続的に、成長させます。

ブランディングにより、価格競争に関係なく、売上が安定し、つまり経営が安定するようになります。ステークホルダーが自社のファンとして商品やサービスの良さを拡散してくれ、広告・宣伝費を削減でき、その分個性的なイベント等の開催も可能で、より個性を出しやすくなります。認知向上により、社内にも一体感が生まれ、採用活動もやりやすくなります。

ブランディングはそれなりに長い時間がかかりますが、第一歩としては自社が何ものかをよく分析し、強みと弱みを理解するところから始めます。
広報戦略の策定により、ある程度の方向性が決まったら、より詳細を詰めていきます。

ちなみに、「広報戦略」を年間スケジュールへと具体的に落とし込んでいったものが「広報計画」です。「広報計画」については、こちらで詳しく解説しています。 広報計画を立てる際に知っておきたいポイントと注意点

ブランディングは全社一丸となって取り組むべきであり、さらにステークホルダーに及ぶまで浸透させることも大切です。ですから、共通認識の手段としてロゴマークやブランドカラーの設定も余裕があれば、検討すべきです。

ブランディングは、その他の広報施策同様定期的な効果測定が必要で、時流も考慮しつつ、細部は随時改定して進化させていきます。

ブランディングによる成功事例を2社紹介しましたので、ご参考まで。

弊社でも、ブランディングを主眼においた広報活動を幅広くお手伝いしています。
興味のある方は、ご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

ブランディングに関するご相談はこちらから。
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